精密な歯科治療への取り組み
同じ歯を削る治療を受けるのであれば、より精密な方が良い、削りすぎない方が良い、治療を繰り返さない方が良いと思うのは当然だと思います。それは患者さんだけではなく、私たち歯科医師・歯科衛生士も同じ気持ちです。
歯科で治療する歯はだいたい5mm~10mmで、虫歯の大きさは約1~2mm程で、詰め物や被せ物に要求される精度は0.03mm前後です。歯の根管になると太さは0.5mm程、治療で使用する器具の先端は0.08mmという極小の世界です。
当院では、マイクロスコープ「PROergo(プロエルゴ)」(手術用顕微鏡)や、歯科用双眼ルーペ「ハイネ」(拡大鏡)などの、肉眼では見えないものを3倍から20倍程度にまで拡大観察できる装置を導入しています。歯科医師の経験や技術だけに頼るのではない、目で見て確実に診断・治療を行う、精密な歯科治療への取り組みを行っております。
2019年6月 副院長は日本顕微鏡歯科学会 認定医の資格を取得
学会認定医取得への想い
日本顕微鏡歯科学会認定医試験を受験したのは、当HPの【初めての方へページの「当院で精密歯科治療を行う理由」】で述べているように、顕微鏡などの拡大装置を用いない従来の歯科治療では、とても正確で確実とは言えない不精密、不的確な治療が多く見られます。かと言って、顕微鏡を所有していても使いこなせている先生は多くなく、ただの置物と化している医院も多いと聞きます。それでは顕微鏡歯科治療を求める患者さんは、医院選びに困ってしまいます。
その現状を変えたいと顕微鏡歯科治療の修練を続けて来た副院長の技術・知識が、日本最大の顕微鏡歯科治療関連の学会である日本顕微鏡歯科学会に「顕微鏡を用いた正確で確実な診断、予防及び治療のための高い医療技能を有している」と認めていただくことで、患者さんに安心して来院いただけるようにしたい、との思いからです。
そのため、副院長は顕微鏡歯科学会 認定医資格を取得し、岡山県北部及び鳥取県域では唯一の学会認定医となりました。(2019年6月現在)
マイクロスコープについて
マイクロスコープは元々、眼科や脳神経外科などの分野で使用されていた手術用顕微鏡です。肉眼の20倍程度まで拡大して患部を確認することができるので、精密かつ正確な治療が可能となります。
そのため、歯科医療の先進国であるアメリカでは、根管治療においてマイクロスコープが必須とされています。
日本でマイクロスコープがまだまだ普及していない主な理由としては、マイクロスコープの機器そのものが高額な上に、操作方法が難しくトレーニングが必要だからです。
当院ではマイクロスコープを2台導入し、スタッフ全員が日々研鑽を積み、高性能なマイクロスコープを使いこなすトレーニングにも励んでおります。
また当院が導入しているマイクロスコープ「PROergo(プロエルゴ)」は、日本で歯科用に販売されている顕微鏡の中で最上モデルです。
通常のマイクロスコープは、ピント・倍率調整をツマミをひねって行うため、処置を行いながら同時にピント・倍率を操作することは不可能でした。
PROergo(プロエルゴ)は、この調整をフットペダルを用いて行うため、処置を中断することなく、処置をしながらいつも適切なピントと倍率を合わせることができます。
納得の治療を行うための「カリーナシステム」
当院では、患者さんに自身の歯が今どのような状況なのか、マイクロスコープを使った治療でどのような事をしているのか、患者さんに理解を深めていただくことが治療のために必要不可欠だと考えているため、治療動画撮影システムの「カリーナシステム」を導入しています。
このシステムは、私たち術者がマイクロスコープを通して見ているミクロン単位の映像を、診療室内に設置された大型モニターに映し出し、患者さんご自身の目で確認していただけるシステムです。マイクロスコープを使って治療している状況を、全て動画で記録することもできますので、写真画像では伝えきれなかった、歯の動揺などの「動き」までお伝えすることも可能です。
カリーナシステムを活用したマイクロスコープ治療の特長
精密な治療と病気の未然防止を可能にします
マイクロスコープを使うことで、狭くて暗いお口の中であっても歯や歯ぐきの小さな異変を見逃さずに、正確な診断、精密な治療を行うことができます。 虫歯や歯周病などの早期発見にも結びつきますので、歯を健康な状態に保つことができ、大切な天然歯を失うリスクが最小限に抑えられます。
誤診を防ぐことができます
肉眼だけで確認できる情報には限界があるため、歯の亀裂を見落としたり、初期の虫歯を見落としたり、修復物の不適合からくる問題を見落とすことがあります。マイクロスコープを使った精密治療であればミクロンレベルの情報を得ることができます。治療計画は、肉眼でも可能ですが、拡大視野による情報を加えることで、誤診を防ぐことが可能となります。
可能な限り歯を削らない治療を行います
マイクロスコープを使って治療部位である歯を正確に確認することで、虫歯部分と、そうでない健康な部分との境目をより細かく見極めることができます。 その為、可能な限り歯を削らない治療を行い、歯への侵襲を抑えることができます。
今受けた治療の詳細をその場ですぐ確認できます
治療中は、常に足元にあるカリーナシステムのフットペダルを使って動画、写真の撮影を行なっております。そのため治療後、患者さんが起き上がってうがいをしてもらっている間にはすでに説明の準備が完了しています。今受けていた治療の様子を、治療直後に動画で確認しながら説明を受けることができます。
コメントや絵を書き加えた分かりやすい解説を受けることができます
カリーナシステムで撮影した動画や写真を映し出すモニターはタッチパネルになっています。そのため、映像に直接手書きコメントを書き込んだり、副院長が得意とする絵を描き加えることで、より明確で質の高いプレゼンテーションを可能にします。
全ては『精密で長持ちする治療の内容を、患者さんご自身の目で見て安心・納得していただきたい』
という当院の想いから、これらの環境を構築しています。
マイクロスコープの活用例
虫歯の治療
虫歯は初期段階の場合に白い斑点としてあらわれ、痛みなどの自覚症状もほとんどありません。そのため、気づいた時には虫歯が進行してしまっていたというケースも多々あるのです。マイクロスコープを使用すれば、初期段階の虫歯を早期発見できて、可能な限り歯を削らない治療にもつながるので、歯への侵襲を抑えられます。
精密虫歯治療の代表的な症例
精密ダイレクトボンディング治療
症状 | 症状はなかったが、レントゲン上にて虫歯を発見した |
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治療法 | 虫歯を丁寧に取り除き、ダイレクトボンディングによる即日修復を行う |
費用 | ~5万円 |
通院回数 | 2回 |
備考 | 治療は一回に1時間以上、1~2回です。(虫歯を取り切るのに一回、修復処置に一回。可能な場合は一度で同時に行うこともあります。) 全ての治療において言えることですが、その歯の状況に合わせ最大限長持ちするよう全力を尽くして治療しますが、一生保つことを確証するものではありません。 詰め物は材料的に10年程保つと言われるプラスチックの一種「コンポジットレジン」。一部の欠けや割れは補修の効く材料なので、継ぎ足しながら長期的に使うことができます。 |
根管治療
歯の神経や根の部分は非常に複雑な形をしているため、肉眼だけで精密な根管治療を行うことは困難でした。マイクロスコープを活用すれば、詳細に患部を拡大できるので、根管の形や状態を正確に診断し、根管治療の成功率を上げることに繋がります。
根管治療の代表的な症例
マイクロスコープを用いた精密な根管治療
症状 | 奥歯が痛くて噛めない、歯茎が腫れている |
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治療法 | マイクロスコープを用いた精密な根管治療 |
費用 | 被せ物まで含め~15万円 |
通院回数 | 状況に応じ異なりますが、このケースの場合は4回の根管治療、2回の被せ物治療で合計6回かかりました |
備考 | 一番奥の歯の根の先にできた根尖病変が、手前の歯の根にまで達し、治療が遅れると手前の歯まで巻き込んで共に抜歯となる可能性もありましたが、マイクロスコープを活用した根の治療により根尖病変は消失しました。
成功とは、症状が治まり、根の先の病変が存在しなかった場合は発生させず、存在した場合は治癒あるいは進行が止まることを指します。(病変は早いもので約3ヶ月で治癒しますが、最大約20年かけ治癒した報告もあり、病変の残存を一概に成功していないと言うことは難しいためです) |
補綴物・修復物
マイクロスコープを使用することで、歯を削ったところに入れる詰め物や被せ物(補綴物・修復物)の適合精度を高めることができます。適合精度が高いということは、歯と詰め物や被せ物がすきまなくピッタリと合っているという状態になるため、メインテナンスがしやすく、残っている天然歯を維持することに繋がります。
審美補綴治療の代表的な症例
フルセラミックを使用した審美補綴治療
症状 | 前歯の見た目が気になる |
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治療法 | 左上3番目~右上3番目までフルセラミックの被せ物により審美的に修復した |
費用 | 全部で~40万 |
通院回数 | 歯の状況により全く異なりますが、通常2回~4回、1回1時間~。このケースは本数も多いので6回ほどかかりました。 |
備考 |
精密な被せ物治療により段差やバリのない、汚れがつきにくく清掃しやすい状況にしています。 |